トップページ » 監査ポイント解説

期首残高の修正

中国では月次決算を実施し、管轄税務局に財務諸表(貸借対照表、損益計算書)及び税務申告書を提出します。提出した財務諸表を訂正することができないため、月次決算の訂正が必要な場合、翌月以降の月次決算において訂正されます。つまり、会計監査で発見された月次決算の訂正事項は監査対象年度の財務諸表に遡及して反映されますが、会社の月次決算においては遡及して訂正することができず、監査実施日の月次決算において訂正することになります。その結果、監査済み財務諸表と12月度月次決算の財務諸表とには差異が発生します。よって会計監査においては、この差異が月次決算において正しく訂正されているかどうかをチェックします。

企業所得税の計算

四半期ごとに企業所得税の申告をしますが、納税額は月次決算の財務諸表の利益額と税率とから計算されています。通常、このようにして計算された納税額と税法に基づく納税額とには差異が発生しますが、その差異は月次決算の財務諸表には反映されていません。よって会計監査においては納税調整が行われているかどうかをチェックします。

会計と税務の分離

通常、会社は会計制度に基づいて月次決算を行いますが、税務申告の便宜を考え、収益費用の認識、貸倒引当金や減価償却などにおいて税務規定に基づいて月次決算を行っている場合があります。会計監査においては、会計制度に基づく月次決算となっているかどうかをチェックします。

会計上の見積り

中国の会計制度においては、貸倒引当金の計算、棚卸資産の評価、減価償却や税効果会計等、会計上の見積り計算が必要となります。しかしながら中国の商習慣や会計習慣に不慣れなため、十分な見積り計算ができていないことがあります。会計監査においては、見積り方法や計算根拠の妥当性をチェックします。

日常の業務プロセス

売上や仕入等の業務プロセスの妥当性を検討することは会計監査における本来の目的ではありませんが、会計監査の目的を達成するために、これらの業務プロセスを把握し検討します。

製品原価の計算

日本の製造業では、一般的に、原価計算制度に基づく製品原価の精緻な計算が行われています。しかし、中国においては原価計算制度が十分に発達しておらず、加工費や間接費の配賦計算、標準原価の設定等が適切ではないことがあります。結果として、材料費のみが製品原価とされ、加工費や間接費はすべて月次の費用とされていることがあります。会計監査においては、原価計算の重要性を判断して、製品原価の集計や計算が適切かどうかをチェックします。

グループ間取引

日系企業の多くは、グループ全体として会社経営を行い、グループ会社間で物品の売買や資金融通等を行っています。このようなグループ会社間取引は会社の決算書における開示対象となります。しかしながら、グループ会社を識別できていない、グループ会社間の取引高及びその債権債務残高を照合できず、かつ未解決のまま放置されていることがあります。会計監査においては、グループ会社が識別されているか、グループ会社間取引が正確に集計されているか、照合できない債権債務の有無をチェックします。このことは移転価格税制対策のための情報収集という一面も兼ね備えています。

税効果会計

日系中国子会社においては、一般的には、税効果会計を適用していません。これは中国の会計制度において、税効果会計が選択適用となっているためです。しかしながら、日本の連結決算においては中国子会社も税効果会計を適用して決算をすることになります。連結決算のための会計監査においては、適切に税効果会計を適用しているか、特に、適用する税率、税務優遇措置の適用状況、一時差異の項目と金額、繰延税金資産の回収可能性についてチェックをします。

監査技術

1. 実査

実査は、会社の金庫等に保管する現金や有価証券等に適用する監査技術で、監査人が実査対象物の数量や金額を直接にチェックします。
監査上の重要なポイントは、実査時点において、数量や金額が会計帳簿と一致することです。勿論、会計帳簿が最新の状態になっていることが前提となりますが、万一、不一致の場合には原因を調査しなければなりません。この結果、決算の訂正が必要となる場合もあります。また、会社の金庫等に保管されている現金等が、日常の収支と比較して多額になっているかどうかも監査上のポイントとなります。

2. 立会

立会は、主に棚卸資産に適用する監査技術で、会社が実施する数量調査(棚卸)の現場に立ち会い、その結果の全体的な正確性をチェックします。具体的には、まず棚卸計画、すなわち日時、調査範囲、方法、人員配置や時間等の妥当性をチェックします。そして、会社の棚卸結果が正しいことを確かめるために、テストサンプルを選定して、立会人自らも実際に数量を数えます。さらに、立会においては、数量の確認だけではなく、保管状況、長期滞留品や不良品の有無についても調査します。
監査上の重要なポイントは、棚卸を始める前に対象となる資産を確定させ整理することです。ここで、数えやすいように種類ごとに整理することは勿論ですが、長期滞留品や不良品を区別し、何らかの理由で棚卸対象外とするものはその理由を明確にする必要があります。また、二重カウントやカウント漏れが発生しないように、棚卸計画を作成し、かつ実行することも監査上のポイントです。

3. 確認

確認は、債権債務残高及び取引金額合計をチェックするために、会社の取引先等に対して監査人が直接に確認状を発送し、取引先等の回答を監査人が直接に入手する監査技術です。
監査上の重要なポイントは、確認状の回答を確実に回収することです。このために、確認状が適切な相手に確実に到着する住所等を正確に把握する必要があり、かつ、郵便事情を考慮した確実な郵送手段を利用することが必要です。さらに、取引先等が理解できる言語で確認状を作成しなければなりません。特に、中国国外へ発送する場合には英語か相手の母国語で作成することが望まれます。また、確認状を発送して回収されるまでに必要な時間を考慮して確認状の発送時期を決定することも、監査上のポイントです。
確認状を回収後、会社の会計記録が回答金額と不一致の場合にはその原因を調査しなければなりません。この結果、決算の訂正が必要となる場合もあります。

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