[実務入門] (34) 原価計算 (3)

[2012年4月5日]

前回までで原価と費用の違い、「旧」企業会計準則・企業会計制度上の取り扱い、「新」企業会計準則上の取り扱いについて確認しました。
今回は、非常に簡単な例において、原価計算の意義について考えて行きます。

【例】 世界的コーヒー店チェーンであるX社は、アジア圏においてトール・ラテを以下のように販売している。

1杯あたり
中国 30元
日本 400円

本記事は、現在NNA.ASIAで連載中の「ここに注目!中国会計・税務実務入門」を転載したものです。

2012年1月の月初・月末・平均為替レートは、いずれも1元=12円とします。
上記2拠点で、それぞれ主要材料であるコーヒー豆を2012年1月1日に1,000kg下記の金額で仕入れ(仕入のために要した運送費用、倉庫・通関費用、関税などを含みます。)、2012年1月31日にこれを使い切った。両拠点の月初、月末ともコーヒー豆の在庫はない。

当月入庫材料費=当月直接材料費
中国 700,000元/1,000kg
日本 840万円/1,000kg

この材料を元にトール・ラテ単品を販売した結果、各拠点では下記の杯数の売上が確認できた。

杯数
中国 72,000
日本 75,000

この他、コーヒー店としての営業を維持するために従業員に対する給与(労務費)、家賃、ロイヤリティーその他の経費(経費)が以下の金額支出された。その他の支出はなかった。

労務費及び経費
中国 760,000元
日本 1,860万円

以上をまとめると、以下のような損益になります。

中国(元) 日本(万円)
売上 2,160,000 3,000
直接材料費 700,000 840
労務費・経費 760,000 1,860
営業利益 700,000 300
営業利益率 32% 10%

原価計算という点では極めて単純ですが、単位あたり製品原価は以下の費目から構成されています。

中国 日本
直接材料費 9.7元 (≒116円) 112円
労務費・経費 10.5元 (≒126円) 248円

両拠点の営業利益率の違いは、明らかに固定費である労務費・経費の単位あたり費用が中国の方が小さいからだと理解することができます。

余談ですが、原価計算の観点からは、為替レートの水準感を計る際によく例に出される「ビック・マック指数」や「トール・ラテ指数」は必ずしも正しい考え方ではないことが示唆されます。

次回は費用項目の基本的な論点を確認したいと思います。
(上記の例はあくまでもフィクションです。)

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