[実務入門] (16) 棚卸資産 その2

[2011年7月15日]

前々回は、棚卸資産のポイントについて説明しました。前々回に続き、今回は棚卸資産の期末評価を中心にポイントを説明したいと思います。

1. 棚卸資産の期末評価の原則

棚卸資産は、貸借対照表日に原価と正味実現可能価額のいずれか低い方により測定しなければなりません。当該測定は、毎月行うことが望ましいですが、実務上の負担が大きい場合は、四半期毎に行うことも可能です。
当該測定において、棚卸資産の原価が正味実現可能価額を上回った場合、棚卸資産評価損失引当金を計上し、当期損益に計上し、当期損益に計上しなければなりません。
ここで、正味実現可能価額とは、日常活動において、棚卸資産の見積販売可能価額から、完成までに発生することが見込まれる見積原価、見積販売費用および関連する見積税金費用を差引いた後の金額を言います。
よって、会計処理マニュアルにおいて、正味実現可能価額の具体的な算定方法を記載しておくことが重要になります。この点、日本でもほぼ同様な方法で評価されていますので、日本親会社の経理規程を参考にするのがよいでしょう。
具体的には、生産する製品の原価が製品の販売価格より高い場合や、棚卸資産が継続的に下落し、予見可能な将来において回復する見込みがない場合等に、棚卸資産評価損失引当金の計上が必要になります。

また、以下のいずれかの状況にある棚卸資産については、帳簿価額全額を当期損益に振り替えなければなりません。

  1. 使用価値・譲渡価値がなく、生産に使用される見込みがない棚卸資産
  2. 腐敗し変質した棚卸資産
  3. 期限が過ぎて譲渡価値がない棚卸資産

2. 具体的な会計処理

期末において、棚卸資産の正味実現可能価額が原価を下回った場合、以下のように会計処理します。
(借方) 管理費用-棚卸資産評価損失引当金繰入
(貸方) 棚卸資産評価損失引当金

また、過去に棚卸資産の評価減をもたらした要因が消滅したり、回復していると認められる場合は、すでに計上している棚卸資産評価損失引当金の額の範囲内で戻し入れを行わなければなりません。

3. 具体的な税務処理

会計上、棚卸資産に関する損失・棚卸資産評価損失引当金繰入として費用処理した場合でも、税務上、損金として認められるわけではないので注意が必要です。特に、棚卸資産評価損失引当金繰入は税務上損金として認められません。
税務上の損金として処理するには、会計上の損失処理が行われていることが前提となり、税務機関に申告を行わなければなりません。
具体的には、棚卸資産の正常な消耗な場合は、固定資産の正常な処分損等とともに、一括して申告を行うことができます。(これを「清単申告」と言います。)一方、棚卸資産における正常な消耗等以外の場合は、「清単申告」の対象とならず、件別に申告を行う必要があります。(これを「専項申告」といいます)。

「専項申告」の場合は、税務機関へ損失に関連する資料を提出しなければなりません。具体的には、政府機関や専門家が発行する資料や社内意思決定資料・棚卸表等が必要となってきます。なお、「清単申告」の場合でも、計上金額等に疑義が認められる場合、税務機関が損失に関する資料を要求する場合もあるので準備しておかなければなりません。

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