[実務入門] (13) 無形資産

[2011年6月3日]

前回までは、会計処理マニュアルの固定資産のポイントについてお話ししてきました。今回からは、無形資産のポイントについて説明したいと思います。無形資産は、「見えざる資産」とも呼ばれ、設備投資、建物などの有形の経営資源とは異なり、実物形態を持たないものです。

(1) 定義

無形資産とは、企業が所有、または、支配する物質的実体のない非貨幣性資産のことをいいます。無形資産は、識別可能な無形資産と識別不能な無形資産に分類されます。識別可能な無形資産には、特許権・非特許技術・商標権・著作権・土地使用権等があります。一方、識別不能な無形資産は、主にのれんです(のれんとは、法律上の権利ではないが、企業のブランド力、得意先との信頼関係、特殊な技術などの他の企業を上回る企業収益を稼得することができる無形の財産的価値を有する事実関係のことをいいます)。

(2) 認識

無形資産として計上するためには、以下の条件を同時に満たさなければなりません。

  • 当該資産に関連する経済的利益が企業に流入する可能性が高い
  • 当該資産の原価を信頼性をもって測定できる

よって、無形資産を購入時、資産として計上するのか、一括費用として計上するのか、会計上の判断が必要となってきます。これは、日本の会計基準においても同様の判断が求められています。よって、親会社の経理規定を参考にして、会計処理マニュアルに無形資産購入時の手続きを明確化しておくことが望まれます。

(3) 取得原価

無形資産については、実際の支払額に基づき取得原価を測定しなければなりません。外部から購入した無形資産の原価には、購入価額、関連税金費用、当該資産が予定された用途に至るまでの発生した直接帰属するその他支出が含まれます。

(4) 減価償却

無形資産は、取得した月から予定使用期間内に均等償却し、損益に計上しなければなりません。基本的には、法律や契約で定められた期間で償却することになります。

(5) 土地使用権

中国では、土地が国有であることから、例えば進出先である開発区における工場建設のため、土地使用契約を締結し、その使用の対価を支払うのが一般的です。この土地使用権は、無形資産として計上され、契約期間または経営期間のいずれか短い期間で償却する必要があります。ただ、当該土地使用権を利用して自社使用物件を建設する場合は、土地使用権の帳簿価額をすべて建設仮勘定に振り替え、建物・構築物の完成後に固定資産へ振り替えます(新会計基準の場合、無形資産として計上し続けますが、新旧会計基準ともに償却期間の規定は同一なので損益に与える影響はありません)。

ここで、親会社(日本企業)の連結財務諸表作成上、留意すべき点があります。日本の会計基準では、土地使用権はオペレーティングリースと考え、長期前払費用として計上しなければなりません。よって、中国子会社を連結上取り込む場合、組替が必要となってきます。

次回は、棚卸資産のポイントについての説明を予定しています。

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