[実務入門] (10) 固定資産 その3

[2011年5月4日]

前回、固定資産に関する会計処理マニュアルのポイントについてお話しましたが、今回も引き続き固定資産のポイントについて説明したいと思います。今回は固定資産の減損を取り上げます。減損会計は、中国会計基準・日本会計基準・国際会計基準でも取り入れられており、近年の企業会計において非常に重要なトピックとなっております。以下、減損会計のポイントについて説明します。

(1) 固定資産の減損とは

固定資産の減損とは、固定資産の回収可能価額が当該帳簿価額を下回ることを言います。例えば、会社が工場を建設して設備を購入したとします。このような設備投資により収益を上げ、長期間にわたってキャッシュフローを生み出し、当初の投資額が回収され、利益が上積みされることとなります。しかし、技術革新により設備が陳腐化すると、収益が上がらず、当初見込んでいたキャッシュフローが得られなくなり、投資額を回収できない場合があります。減損会計とは、このように企業が保有する固定資産の価値が大きく下がった場合に、帳簿価額を現在の価値に合わせる会計処理のことです。このような考え方は、中国・日本・国際的に共通です。

(2) 減損会計の基本的な手続き

減損会計の基本的な手続きは以下の順に行います。

  • 資産グループの識別(グルーピング)
  • 減損の可能性(兆候)がある資産の識別
  • 資産の回収可能価額の測定
  • 資産の減損損失の確定

まず、資産をグルーピングし、その資産グループ単位で、減損の可能性(兆候)を判定することになります。減損の可能性(兆候)がないと判定された場合は、「資産の回収価額の測定」以降の手続きは不要であり、減損が生じていないと判断されます。一方、可能性(兆候)ありと判定された場合は、「資産の回収可能価額の測定」手続きへ進むことになります。「資産の回収可能価額の測定」で回収可能価額が帳簿価額を下回っていると判定された場合、「資産の減損損失の確定」手続きに進み、会計上損失を認識することとなります。以下において、それぞれの手続きについて、説明していきたいと思います。

(3) 資産グループの識別(グルーピング)

まず、資産グループの識別(グルーピング)が必要となります。資産グループの識別は、その資産グループが生み出す主要なキャッシュインフローが他の資産またはキャッシュインフローから独立しているか否かを根拠としなければなりません。それに加えて、資産グループを識別する際、経営者の生産経営活動に対する管理上の区分(例えば、生産ライン、事業種類、または地方もしくは地域などによる区分)、および資産の継続的使用または処分に関する意思決定などの方法を考慮する必要があります。資産グループはいったん確定したら、各会計期間において継続して適用しなければならず、みだりに変更してはならないことになっています。
以上の点を参考にして、固定資産をグルーピングし、会計処理マニュアルにおいて明記しておく必要があります。

次回も引き続き、固定資産の減損のポイントについての説明を予定しています。

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