[実務入門] (8) 固定資産 その1

[2011年4月22日]

前回は個人所得税年度申告についてお話致しましたが、今回は前々回以前の内容である会計処理マニュアルについて引き続き説明したいと思います。今回は固定資産を取り上げます。固定資産とは、販売目的でなく継続的に会社で使用することを目的とする財産で、建物や機械など形のあるモノをいいます(中国では呼称が異なり、中国の固定資産は日本の有形固定資産に該当します)。固定資産の会計処理につき、現地法人の会計担当者と本社の会計担当者等が、共通の認識が持てるようにするため、会計処理マニュアルの記載ポイントを説明します。

(1) 固定資産の定義

まず、どのような項目を固定資産として計上するかを明確に定めておく必要があります。中華人民共和国企業所得税法実施条例第57条によると、「固定資産とは、企業が製品の生産、役務の提供、リース又は経営管理のために所有し、使用期間が12ヶ月を超える非貨幣資産である」とあります。また、企業会計準則によると、「製品の生産、役務の提供、賃貸又は経営管理の目的で保有し、耐用年数が1年以上で単価が比較的高いもの」をさし、税務上・会計上の定義はおおむね同様となります。ここで注意しなければならないのは、日本のように金額基準が存在していないことです(以前は中国においても2,000人民元以上という基準がありましたが、現在は撤廃されております)。よって、原則として使用期間が12ヶ月を超えるモノは固定資産として計上する必要があります。しかし、実務上は、使用期間が12ヶ月を超えるモノであっても、金額的に僅少なモノ、容易に損耗するモノ、流動性が著しいモノ等は、固定資産として計上せずに費用として処理しているのが通常で、税務局もそこまでは注目していないようです。例えば、携帯電話、CD-ROM、USBメモリなどです。税務上の基準を参考として、どのような項目を固定資産として計上するかをマニュアル化しておく必要があります。

(2) 固定資産の取得原価

固定資産として計上する金額がポイントとなってきますが、固定資産の取得原価は以下のようになります。

  • 外部から購入した固定資産;購入価格と運搬費、据付原価、支払った関連税金等予定した用途に用いることができるようになるまでに発生したその他の支出
  • 自ら建設した固定資産;竣工前に発生した支出
  • 現物出資;投資者が確認し資産評価事務所が評価した価額
  • ファイナンスリースにより取得した固定資産;リース料支払い総額又は当該資産の公正価値及び借り手が契約を締結するまでに発生した関連費用
  • 贈与を受けた固定資産;証憑に記載された金額(贈与者からの証憑がある場合)と付随費用等の関連費用

特に、外部から購入した場合、購入価格だけではなく、設置までに発生した付随費用も固定資産の取得原価を構成するため注意が必要です。処理漏れを防止するため、マニュアルにおいて明確に記載しておく必要があります。

(3) 固定資産取得後の支出

固定資産取得後の支出について、修理費として費用計上するのか、それとも、資産計上するのか、という点は非常に重要です。例えば、費用の低減に効果がある、製品の品質を高める、固定資産の耐用年数の延長が可能となる、といったような支出の場合、固定資産の帳簿価額に加算します。これ以外の場合は原則費用処理となります。よって、固定資産の価値を高めるものではなく維持するための支出は修理費として費用計上する必要があります。この点もあいまいになりがちな部分ですので、マニュアルとして明確化しておくことが望ましいです。

次回も、引き続き、固定資産に関する会計処理マニュアルのポイントについて説明を予定しております。

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