[実務入門] (4) 決算時の留意点(その他)

[2011年1月11日]

前回取り上げた棚卸資産及び有形固定資産以外の決算時の留意点を説明します。

科目残高の確認

「銀行預金」、「借入金」、「売掛金」、「買掛金」、「その他未収金」、「その他未払金」などについて期末の残高が正しいことを確認するため、銀行から残高証明書を取得し、或いは取引相手に確認状を発送し残高を確認します。非関連会社との取引残高については日頃から確認されていることが多いと思いますが、関連者との取引については合致していない場合が見受けられますので注意が必要です。

発生主義での計上

売上行為或いは仕入行為が発生しているにも関わらず、増値税発票(税務証憑)を発行していない、或いは取得していないなどの理由で、売上や仕入を未計上としていることがあります。
また、費用についても、実際には発生しているにも関わらず、発票を取得していないとの理由で費用計上していないケースも見受けられます。発票の発行や取得に関わらず、会計は発生主義による計上が必要です。

資産の評価

売上債権、不動在庫、遊休固定資産などにつき期末に評価を行い、売上債権については貸倒引当金を、棚卸資産、有形固定資産については評価損失引当金を計上し、出来るだけ妥当な評価を行います。評価のためには、まず評価の基準を自社で設ける必要がありますので、基準がまだない場合には決算時までに決めておく必要があります。

科目の明細金額の精査

「その他未収金」科目によくあるケースですが、この科目は従業員に対する仮払金、業者に対する費用で発票を取得していない支払い、保証金、便宜上一時的に使用しているケースなど様々な取引が計上されており、明細が不明ということがあります。この科目に限りませんが、資産、負債の各科目の残高明細が正しいものか確認します。

計上した費用の見直し

計上した費用が、適切な会計科目に計上されているか確認します。これにより、財務諸表がより正確に経営成績を反映するようになるほか、節税或いは税務リスクの軽減につながることがあります。表1は、企業所得税上、費用となる金額の限度額を示したものです。例えば従業員福利支出は、年間給与額の14%が上限となっており、それを超える金額は、企業所得税上は費用にならず所得に加算され税額計算の対象となります。そのため、福利厚生科目に計上されている金額が、税務上の限度額を超える場合には、福利厚生科目の見直しを行い、福利厚生の性質でない支出が計上されている場合には、適当な科目に振り替えることにより節税が図れることになります。逆に、交際費とすべき支出を別の科目に計上している場合は、交際費に振り替えることで税務リスクが軽減されます。これは、交際費は少なくとも支出額の40%は、企業所得税上は費用とならず所得に加算されるためです。

そのほか、会計上費用に計上しているものでも、発票がないものは税務上は費用と認められないため、特に金額の大きな費用については、決算時に発票が揃っているか確認するのがよいでしょう。表2は、企業所得税申告書の附表で、納税調整項目の明細を表したものです。過年度のこの表を見ることにより、どういった項目がこれまで企業所得税では費用と認められなかったかが分かりますので、この表を参考に、重点的に見直す費用科目を確認するのも1つの方法です。

(表1)

(表2)

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