[実務入門] (3) 決算時の留意点(棚卸資産及び有形固定資産)

[2010年12月27日]

前回から、会計処理マニュアルの記載内容について説明をしていますが、年度末の決算日が近いため、今回は会計処理マニュアルから外れて、決算時に留意する点として、棚卸資産と有形固定資産について説明します。

総資産額のうちに棚卸資産、有形固定資産の占める割合が大きい製造業などは、これらの金額を正確に把握出来ないと、売上原価や減価償却費などに大きく影響し、会社の1年間の経営成績を正しく把握することが出来ません。そのため、現物の確認ができる棚卸資産や有形固定資産は、日頃の帳簿での管理以外に、決算時には実地の棚卸を行い、現物の管理状況の把握や実際にいくらあるのかを確定させる必要があります。特に限られた時間で実地棚卸を行う必要のある棚卸資産は、周到な事前準備と効率的な作業フローをつくることが重要です。棚卸資産の実地棚卸のポイントは次の通りです。

(1)   事前準備

棚卸計画(棚卸実施要領)において、棚卸の意義、棚卸の対象範囲、作業の実施手順、役割分担を明確にし、棚卸担当者や関連する部門に周知徹底する。

(2) 実地棚卸時

  1. ミスカウントを防止するため二人一組でカウントを行う。
  2. カウント漏れ等を防止するため棚卸原票を使用。
  3. 棚卸原票はナンバリングしておく。
  4. 各担当者・各区域に何番から何番までの棚卸原票を配布したかを明確にする。
  5. 一人がカウントし、一人が棚卸原票に記入していく。
  6. 一通りカウントが終了したら、全ての棚卸品に棚卸原票が貼付けられているかを確認。
    (網羅的に全ての棚卸品がカウントされているかを確認するため)
  7. 全ての棚卸資産に棚卸原票が貼付けられていることが確認できたら棚卸原票の回収を行うが、カウントミスを防止するため、カウントしながら回収していくのが望ましい。
    (貼付時と回収時は役割を入れ替えて実施する)
  8. 棚卸管理者は棚卸原票が全て回収されているかを確認。
  9. 棚卸除外品が正常品としてカウントされることを防止するため棚卸前に棚卸除外札を貼っておく。
  10. 正確にカウントを実施するため棚卸当日の棚卸品の移動は極力避ける。

この実地棚卸と帳簿記録により、滞留在庫や不良在庫が発生している場合には、それらにつき評価損の計上を検討する必要があります。

次に、機械設備などの有形固定資産ですが、有形固定資産は棚卸資産と違い、日常の管理が疎かになりがちです。有形固定資産の管理のポイントは次の通りです。

  1. 固定資産購入後、速やかに固定資産に固定資産番号を割当て固定資産カードを作成する。固定資産カードには固定資産の名称、固定資産番号、購入日、取得原価、減価償却年限などの基本情報を記録し、固定資産に貼付する。
  2. 固定資産台帳を作成し、基本情報、資産の保管場所を明記する。固定資産カードと固定資産台帳は相互に対応させ、内容を一致させる。
  3. 固定資産の保管場所の変更が生じる場合、速やかに固定資産カードと固定資産台帳を更新する。
  4. 定期的に実地棚卸を行い、固定資産の存在、使用状況を確認する。
  5. 固定資産の除却、売却、修理、紛失、損害時の決済フローを作成しておく。
  6. 固定資産管理の職責を割振り、固定資産の取得、記録、保管、使用、修理、処分等についてそれぞれ責任を明確にする。職責を明確にすることで、ミスと不正行為の発生を防止することが出来る。

中国の現地法人では、有形固定資産について定期的な実地棚卸を行っていない会社が見受けられますが、有形固定資産の実地棚卸には次のような効果があります。

  1. 遊休設備、陳腐化設備の把握
  2. 帳簿には記録があるが、廃棄、盗難などにより現物がない固定資産の確認
  3. 設備管理の向上
  4. 適切な設備投資計画の策定
  5. 減価償却費の正確な計算

実地棚卸により、毀損等のため使用価値及び譲渡価値がない有形固定資産や、実質上既に企業に経済的利益をもたらすことができなくなった有形固定資産が存在する場合などは、減損引当金の計上を検討する必要があります。

内容の関連する記事はこちらです

このページの先頭に戻る

※cn-setup.com